■トランプ氏と「精神的につながっている」

 同質のアイデンティティーに執着するオルト・ライトの人々は、共和党が伝統的に推進してきた自由市場経済という概念を否定する運動でも先頭に立ってきた。

 ブライトバート・ニュースに掲載されたマニフェストは、「自由市場の繁栄を最優先とするエスタブリッシュメント(支配層)の共和党員は、経済的に意味があると判断した場合には、大聖堂を取り壊して小さなショッピングセンターを建設することも辞さない」と述べ、「そうした行為はありのままの保守主義を脅かす」と警告している。

 トランプ陣営が掲げた公約のいくつかはオルト・ライトの人々を大喜びさせるものだった。例えば、自由貿易協定は米国人から雇用を奪うとして撤廃を掲げ、メキシコ国境への壁建設計画を約束し、イスラム教徒の入国禁止案も掲げた。ただし後にトランプ氏は強硬姿勢から転じ、テロで荒廃している国々からの入国者は「厳重に審査」するという内容に修正した。

 トランプ氏は米国の主流メディアについても、報道内容にはバイアスがかかり、いいかげんだと激しく批判してきたが、オルト・ライトの人々も同じく主流メディアを忌み嫌っている。また、トランプ氏は過剰なほどマッチョなイメージを強く打ち出し、米国の女性たちの多くには嫌悪されているが、そうしたイメージも、オルト・ライトの人々にとっては称賛の対象だ。

 ワシントンでのオルト・ライトの会合でスペンサー氏は、オルト・ライトはトランプ氏と「精神的につながっている」と述べた。さらに、オルト・ライトは「肉体を持たない頭脳」だったが、大統領選が始まったときのトランプ氏は「頭脳を持たない肉体のような」存在だったと語った。(c)AFP/Jeremy TORDJMAN