【11月17日 AFP】高額紙幣の廃止で国民の不満が高まっているインドで17日、政府は、農業従事者と結婚式を控えている世帯に限り、銀行からの現金引き出し額の上限を引き上げるという新たな措置を発表した。

 先週、流通していた現金の85%を占めていた紙幣を廃止するという衝撃の発表が行われて以来、銀行前には旧紙幣を新紙幣に交換しようという人々が長蛇の列をつくっている。12億人の人口を抱える同国では結婚式シーズンが近づいており、結婚式の予定にも混乱が生じている。

 銀行が現金不足の対応に追われ、多くの現金自動預払機(ATM)で紙幣が不足する中、政府は1週間の現金引き出し額を2万4000ルピー(約3万9000円)に制限。

 ただシャクティカンタ・ダス(Shaktikanta Das)財務次官は、結婚式を予定している世帯は、1回に25万ルピー(約40万円)まで引き出せると発表した。

 一方、高額紙幣の廃止は農業にも影響を及ぼしている。農家は冬季の種まきシーズンが近づいているにもかかわらず、種や肥料の購入がままならないと訴えている。

 ダス氏は、農家には1週間の引き出し上限を一般よりも少し多い2万5000ルピー(約4万円)にするとともに、農業保険の政府からの借り入れ分の返済期限を延ばす方針を明らかにした。

 同時に、上記に当てはまらない国民にとってはさらなる打撃となる方針も示された。ダス氏は、個人の旧紙幣から新紙幣への交換上限を、これまでの4500ルピー(約7200円)から2000ルピー(約3200円)に引き下げると発表。これは、より多くの人が少なくともいくらかの現金を持てるようにという配慮だと説明している。(c)AFP