【11月17日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(38)が16日、来春の大統領選に出馬する意向を明らかにした。投資銀行出身で公職選未経験の同氏は、仏政界を支配する「同じ男たちと同じ思想」に挑戦すると表明。次期大統領の座をかけたレースの行方は一段と混とんとしてきた。

「新しい時代に入った」。マクロン氏はこの日、象徴的な意味を込めて首都パリ(Paris)郊外のほこりっぽい労働訓練センターで記者会見を開き、西側諸国の民主主義の危機や地球温暖化、不平等の拡大を列挙しつつ、そう宣言した。その上で「同じ男たち、同じ思想では対応できない」と力を込めた。

 マクロン氏は自身が率いる中道派運動「前進(En Marche)」の支援を受けて、独立候補として出馬する見通し。ビジネスとテクノロジーの推進派として知られるマクロン氏は「左派でも右派でもない」と公言しており、年長の経験者が牛耳る仏政界を揺るがしたい考えだ。

 来年4~5月、第1回投票と決選投票の2段階を踏んで行われる仏大統領をめぐっては、中道右派の野党・共和党の候補が勝利すると予想されている。しかしアナリストの間では、米大統領選でドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が予想外の勝利を収めたことを受け、こうした予想に疑問を呈する見方も出ている。

 投票まで半年を切った現時点で、共和党と与党・社会党はいずれも候補者を指名していない。一方、マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏率いる極右政党・国民戦線(FN)も再浮上しており、16日に「国民の名の下に」という選挙スローガンを発表したルペン氏はトランプ氏の当選を追い風に党勢に弾みをつけようとしている。

 こうした中、マクロン氏が出馬を表明したことで、選挙の先行きは一段と不透明になってきた。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT