■危惧される暴力の激化

 言葉の暴力だけでは終わらなかった例もある。

 カリフォルニア(California)州サンノゼ州立大学(San Jose State University)では、イスラム教徒の女子学生が背後からいきなり白人男性にヘッドスカーフを引っ張られ、首が絞まりそうになる事件が発生。ミシガン大学(University of Michigan)でも、ヘッドスカーフを外さなければライターで火をつけるぞとイスラム教徒の女子学生が男性に脅される事件があった。

 モンタナ(Montana)州ミズーラ(Missoula)では、ユダヤ人がメディアを牛耳っていると非難するアメリカ・ナチ党(American Nazi Party)のパンフレットが地域で配布され、地元のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)が警察に警備を強化するよう要請した。

■首席戦略官に「極右アジテーター」

 こうした緊張の中、トランプ氏は白人至上主義者の間で人気が高い極右のアジテーターとして知られるスティーブ・バノン(Steve Bannon)氏を新政権の首席戦略官・上級顧問に指名した。

 反ユダヤ主義に対する監視団体「名誉毀損防止同盟(Anti-Defamation League)」の代表を務めるオレン・シーガル(Oren Segal)氏は、ホワイトハウス(White House)の高官にバノン氏を選出したことは「非常に緊張が高まっている今のような時期に過激派をさらに勢いづかせる結果にしかならない」として警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Sébastien BLANC