【11月8日 AFP】フィリピンの最高裁は8日、独裁政権を率いた故フェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)元大統領の英雄墓地への埋葬について、認める判断を示した。こうした判断はマルコス元大統領が犯した罪を覆い隠し、国を分断するとして、大きな議論を巻き起こしている。

 最高裁報道官によると、マニラ(Manila)にある国立英雄墓地へのマルコス氏の遺体埋葬を認めるというロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の方針に、判事の明らかな過半数が支持を表明したという。最高裁判断の要旨を読み上げた報道官は「埋葬を禁じる法律はない」と語り、裁判所前に集まったマルコス氏の支持者らは喝采を上げた。

 約20年にわたり独裁政権を率いたマルコス元大統領は、1986年の「人民革命(People Power Revolution)」により失脚、家族とともに米国へ亡命した後、89年にハワイ(Hawaii)で死去した。

 これまでフィリピンの歴代大統領は、英雄墓地へのマルコス氏の遺体埋葬を許可したことがなく、遺体は故郷である同国北部の北イロコス(Ilocos Norte)州の邸宅で、ガラスのひつぎに入れられ保存されてきた。しかし、マルコス一家と長年協力関係にあったドゥテルテ氏が今年5月、大統領に選出され、一家の運命は一変した。

 ドゥテルテ大統領は、単にマルコス氏が大統領経験者で第2次世界大戦(World War II)の退役軍人だという理由で、英雄墓地に埋葬される資格があると述べている。(c)AFP