【10月28日 AFP】欧州連合(EU)の欧州議会(European Parliament)は27日、人権擁護活動で貢献があった人物や団体に授与するサハロフ賞(Sakharov Prize)を、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に拉致され、性奴隷として拘束されるという壮絶な苦境を乗り越えたイラクの少数派ヤジディー(Yazidi)教徒のナディア・ムラド(Nadia Murad)さんとラミヤ・アジ・バシャル(Lamia Haji Bashar)さんに授与すると発表した。

 ヤジディー教は、イラク北部を中心に50万人以上の信者がいるとされる古代宗教。ムラドさんとバシャルさんは現在、ヤジディー教徒を保護する取り組みの先導的役割を果たしている。

 ムラドさんは声明で、サハロフ賞の受賞は「ISIS(ISの別称)に対し、自由世界は彼らの非人道的な犯罪行為を糾弾し、その犠牲者に名誉を与えるのだという、力強いメッセージ」を送ったと歓迎。同賞が「私たちヤジディー教徒、そして特にISISの奴隷と人身売買の被害者になっている6700人以上の女性・少女・子どもたちに対し、ジェノサイド(大量虐殺)は繰り返されない」のだと伝えてくれたと述べた。

 国連(UN)の専門家らは、現在も約3200人のヤジディー教徒がISによって拘束されており、そのうちの大半が内戦で荒廃したシリアにいるとみている。(c)AFP/Cédric SIMON