■自己像の問題

 専門家によれば、自己像の問題はごく幼い時期から始まるという。米国で今年発表された、未就学児を対象にした調査では、お姫さま像の刷り込みが早ければ3歳児の行動様式にも影響を与え得ることが明らかになっている。

 調査に携わったサラ・M・コイン(Sarah M. Coyne)研究員は、「『女性はこうあるべき』という固定観念にとらわれ過ぎる女の子たちは、自分には特定のことができないと感じる」と危惧を表明した。

 子ども向けエンターテインメント企業ジム・ヘンソン・カンパニー(Jim Henson Company)のリサ・ヘンソン(Lisa Henson)最高経営責任者(CEO)は、制作会社はこの問題に取り組む必要があると訴える。

 同社が新たに制作した海の仲間たちを題材にした新アニメシリーズ「スプラッシュ・アンド・バブルズ(Splash and Bubbles)」は、ヘンソンCEOの父親ジム・ヘンソン(Jim Henson)氏が手掛けた世界的に有名な子ども向け番組「セサミストリート(Sesame Street)」や「ザ・マペッツ(The Muppets)」の多様性を受け継いでいるという。

 新シリーズでは「男の子と女の子のキャラクターの数をそろえ、それぞれに性差を超越する特性を与えた。よってかなり中性的だ」と、同CEOはコメントした。

 子どもたちに楽しんでもらいながら「良き価値観」を伝えていくという同社の使命を真摯(しんし)に受け止めていると、ヘンソンCEOは言う。

 新アニメシリーズの舞台である海については、「海底は信じられないくらい多様性に満ちている…499匹の子どもを父親だけで育てるタツノオトシゴだって登場する」と冗談交じりに語り、そして「しかもこのタツノオトシゴの父親は、出産だって自分でしてしまう。海では不思議なことがたくさん起きる」と続けた。(c)AFP/Fiachra GIBBONS