【10月18日 AFP】国連(UN)は17日、女性や少女の権利向上キャンペーンの名誉大使として米コミックシリーズのキャラクター「ワンダーウーマン(Wonder Woman)」を起用したのは女性に対する侮辱だという批判を受け、選定を擁護するコメントを発表した。

 元ポルトガル首相のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)氏が次期事務総長に任命されてから数日後に行われたこの発表に、世界の外交トップであるこのポストに女性を初めて就任させようとする運動を行ってきた女性団体は失望をあらわにした。

「地球規模問題に取り組む国際議員連盟(Parliamentarians for Global Action)」の元事務局長で、女性を国連事務総長にするよう呼び掛ける「She4SG」運動を主導した一人であるシャジア・ラフィー(Shazia Rafi)氏はAFPの取材に応じ、今回の決定に不満を漏らした。

「女性の社会的地位の向上を促すキャンペーンの顔にコミックのキャラクターを選ぶなんて。選ばれていいはずの実在の女性は他に大勢いるのに」として、ワンダーウーマンをキャンペーンの名誉大使から降ろすべきだと主張した。

 これに対し、国連のステファン・デュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は、ワンダーウーマンを選んだのは若者に関心を持ってもらうための試みにすぎないと反論。

 しかし、ラフィー氏はこの説明を一蹴し、「若い女性たちが自分自身を見つめて、まともに扱ってもらうためには胸の谷間ができる服やビスチェを着なくてはいけないと考えるような時代ではもはやない」と批判した。

「私たちにできるすべての驚異(All the Wonders We Can Do)」という副題が付けられたこの取り組みは、15年後を目標とした国連の「2030アジェンダ」の一つであるジェンダーの平等と女性の地位向上の推進を目指している。

 21日に行われる正式な任命式には、国連の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長も出席する。

 その他、「ワンダーウーマン」などのスーパーヒロイン、ヒーローものを手掛けるDCエンターテインメント(DC Entertainment)のダイアン・ネルソン(Diane Nelson)社長が「サプライズゲスト」と出席する予定で、1970年代に大ヒットしたテレビシリーズ版の「ワンダーウーマン」で主役を演じた女優のリンダ・カーター(Lynda Carter)さんの出席が取り沙汰されている。(c)AFP