【10月25日 AFP】地中海(Mediterranean Sea)の島国マルタの国際空港で24日、フランス国防省の覆面偵察機が墜落し、搭乗していた5人全員が死亡した。事故を受けて、このチャーター機が負っていた任務に関する臆測が広がっている。

 同機は、秘密の偵察任務のために離陸した直後に機首から地面に墜落し、炎上した。

 マルタのジョゼフ・ムスカット(Joseph Muscat)首相は議会に対し、事故原因は人的ミスか機器の故障である可能性が高いと説明した。

 マルタから350キロほど南には内戦状態にあるリビアがある。このため同機は、リビアに対する秘密の軍事偵察業務に携わっていたのではないかとする説が浮上したが、ムスカット首相はこれを否定。同機はマルタ政府の許可を得て、同国周辺水域における人身売買や薬物・武器の密輸を監視する「税関」関連の任務を負っていたと強調した。マルタ政府は、犠牲者は税関職員だと発表している。

 一方、フランス国防省は同機について、同省の指示で「地中海における偵察任務」を実施していたと認め、マルタ政府の説明とは食い違っている。

 仏国防省によると、死者5人のうち3人は同省職員で、2人は空中査察を専門とするルクセンブルクの民間企業「CAE航空(CAE Aviation)」に勤務する操縦士だったという。

 CAE航空は、同機は「経験豊富な乗員が操縦しており、以前の飛行では技術的な問題は報告されていない」としている。

 リビアでは、発足したばかりのリビア統一政府(国民合意政府、GNA)が支配権の確立に苦慮し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に忠誠を誓う戦闘員らが拠点を設けている。マルタは、リビア情勢を監視しようとする欧州諸国にとって戦略上重要な場所に位置し、フランスは近年リビア問題で主要な役割を担ってきた経緯がある。(c)AFP/Matthew XUEREB