【10月24日 AFP】過激な発言を繰り返し、犯罪者殺害を奨励する「麻薬撲滅戦争」を展開しているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が世界に懸念を与えているとして、同国首都マニラ(Manila)を訪問した米政府のアジア担当官が警告した。

 ドゥテルテ大統領は先週、70年にわたって同盟関係にある米国と「決別」すると宣言。発言はすぐに撤回されたが、米国のダニエル・ラッセル(Daniel Russel)東アジア・太平洋担当国務次官補は23日、マニラでフィリピンの外相、国防相と会談し、ドゥテルテ大統領が世界中で多くの人々の間に懸念を引き起こしつつあるとの考えを伝えた。

 ラッセル氏は「一連の声明や発言が物議を醸していること、またフィリピンの意図に関する情勢の不確かさが多くの国で混乱を引き起こしている。わが国や各国政府の間だけではなく、在外フィリピン人のコミュニティーや企業の役員室といった場所でも懸念が高まっている。好ましい動きではない」と述べた。

 またラッセル氏は、フィリピンのペルフェクト・ヤサイ(Perfecto Yasay)外相に対し直接、ドゥテルテ大統領が率いる「麻薬撲滅戦争」に関する米政府の懸念を伝えたと述べた。麻薬撲滅戦争では過去4か月足らずの間に約3700人が殺害され、超法規的殺人に対する懸念が高まっている。

 ラッセル氏はさらにヤサイ外相とジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官が24日に、両国の同盟関係に関する電話会談を行うと述べた。

 社会主義者を自称するドゥテルテ大統領は、米国との同盟関係を弱め、中国やロシアとの関係を強化すると明言している。また自らの麻薬撲滅戦争に対する米国の批判にたびたび怒りをあらわにし、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に向けて侮蔑語を発したり、「地獄へ落ちろ」などと発言している。(c)AFP