■4歳にして「非凡」

 父親のガイ(Guy Deutscher)さんが娘の非凡さに気付いたのは、当時まだ2~3歳だったアルマさんから「どうして音楽はここまで美しくなれるのかしら?」と尋ねられた時だったと振り返っている。

 英イングランド(England)南部に暮らすドイチャーさん一家が、プレミア公演を前に訪れたウィーンでガイさんは、「4歳くらいになると、独自の旋律を生み出し始めました。あの子には本当に特別な何かがあると認識したのはその頃だと思います」と語った。

 アルマさんは6歳で初めて正式なピアノソナタ、7歳で「スイーパー・オブ・ドリームス(The Sweeper of Dreams、夢を掃く人の意)」と題したミニオペラ、そして9歳でバイオリン協奏曲を作曲した。

「シンデレラ」は昨年イスラエルで、コンサートの形で披露された。しかしインドの巨匠、ズービン・メータ(Zubin Mehta)氏が指揮するウィーン版は、イスラエル版よりもずっと長い、正式な歌劇として上演される。

 アルマさんは、ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim)氏やサイモン・ラトル(Simon Rattle)氏といった著名指揮者陣からも称賛を受けている。ラトル氏は、「圧倒された」と評したほどだ。

 また昨年には、インターネット検索最大手グーグル(Google)が発表する急上昇検索キーワード・リスト「グーグル・ツァイトガイスト(時代思潮、Google Zeitgeist)」の会議に、英宇宙物理学者スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)氏らと並んで登場した。

 とはいえガイさんが「他の子どもたちと同じように、木登りやかけっこが大好きなんですよ」と明かしているように、アルマさんにはごく普通の部分もあるという。

 ただポピュラー音楽は「うるさ過ぎて」苦手なのだとか。ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)やビートルズ(The Beatles)でさえも、「あらいやだ、どちらも知らないわ!」とアルマさんは告白している。