【10月14日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が13日、出場していた上海マスターズ(2016 Shanghai Rolex Masters)の試合中にポイントを放棄したり、ファンと口論に及んだりしたことで、合計1万6500ドル(約171万円)の罰金を科された。

 かんしゃくを起こしやすいことで知られる世界ランク14位のキリオスは、「無気力プレー」に対して科される最高額の1万ドル(約103万円)に加え、観客への暴言により5000ドル(約52万円)、さらにスポーツマンらしからぬ行為により1500ドル(約16万円)の罰金処分を受けた。

 たびたび問題を起こしている21歳のキリオスは、前日の男子シングルス2回戦でスローサーブを打つなど、いくつかのポイントでやる気を欠いたプレーを露呈。さらには、主審や観客とも衝突する場面があり、マッチポイントを握られた際には一人の観客に怒りを募らせて悪態をついたとして警告を受け、世界110位のミーシャ・ズベレフ(Mischa Zverev、ドイツ)に3-6、1-6で敗れた。

 試合中だけでなくコートを去る際にもブーイングを受けていたキリオスは、「俺はネットにボールを打つのがうまいんだ。俺は彼らに対して恩義があるわけではないし、俺の選択肢だ。もし気に食わないなら、試合を見に来てほしいなんて頼まない。ただ立ち去ればいいんだ。そんなにアドバイスを与えるのが得意なら、どうして俺と同じくらいテニスがうまくないんだ? なんでツアーにいないんだ?」と腹の虫が収まらない様子だった。

 その後、キリオスはツイッター(Twitter)に「今日はいろいろなレベルで不十分だった。自分はもっとうまくできる。きちんと弁解したいが、何も言うことはない。申し訳ない」とつづり、上海(Shanghai)でヒートアップしてしまったことについて謝罪した。

 そんなキリオスについて、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、テニス界で最も才能豊かな選手の一人であると認めたうえで、同選手は「人生の教訓」を得たと話している。

「最近の彼については、あまり良い話題がない。話を聞いて残念に思う。なぜなら、最近の彼はテニス界で最も才能に恵まれ、たくさんの可能性を持っている選手の一人であることは、多くの選手やテニス関係者が一致しているから」

「彼が実力を発揮していることは、認めてやるべきだ。だけど今回のことで、彼は『人生の教訓』を得ている。まだ若いから、これから学んでいってほしいね」

 一方、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)は、罰金処分が若手選手の反省につながるのかについては疑問を呈しており、今回の処罰がキリオスに何らかの影響があるかは疑わしいという見解を示した。

「これが若手選手を戒めるための最善策かどうかは、分からない。これで過ちが繰り返されることがなくなるか疑問だ。確信は持てない」

(c)AFP