■雨のレースを望むレッドブル

 先週のマレーシアGPでダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)が優勝し、マックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)とともに、チームとしてはおよそ3年ぶりとなるワンツーフィニッシュを決めたレッドブル(Red Bull)は、雨の週末を願うことも容赦されるだろう。

 レッドブルはセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)がフェラーリ(Ferrari)移籍前の2009年から2013年の5年間で、4度日本GPを制し好成績を残している。リカルドは決勝が行われる9日の天気予報が雨となっていることを受け、「雨の中でなら、僕らは力があることを示せる。もし雨が降れば、優勝することができると信じている」とAFPに語り、メルセデスにとって脅威になることができると自信をのぞかせた。

■得意の鈴鹿で好走を狙うベッテル

 通算4度の世界王者ベッテルは、19歳のフェルスタッペンに「クレイジー」、「ばか」などとののしられているのが現状だ。フェルスタッペンの攻撃的なドライビングを考慮すれば、同選手のベッテルに対する批判は五十歩百歩だともいえる。目下ベッテルが抱える問題といえば、結果的にリタイアを余儀なくされたマレーシアGPの第1コーナーでのクラッシュによって、今週末の鈴鹿では3グリッド降格のペナルティーが科されていることだ。総合5位に甘んじているベッテルは、自身、そしてフェラーリにとって忘れたいシーズンを救うような、運の流れが変わる日本GPを願っている。

■思い起こされるビアンキの死

 レッドブルのリカルドが、マレーシアGPでの勝利を2014年の日本GP(Japan Grand Prix 2014)での接触事故でこの世を去ったジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)にささげたように、今週末のレースでは全ドライバーが彼に思いをはせる。

 マレーシアGPのフリー走行1回目でルノー(Renault)のケビン・マグヌッセン(Kevin Magnussen)のマシンが炎上したことを受け、F1における安全性への懸念は再び高まっている。マグヌッセンが安全装置「Halo」の使用は炎上するマシンからの脱出をより難しくしてしまうだろうとする不安を呈すなか、リカルドは、ドライバーの安全性を向上するよう開発が進行中の「Halo」を歓迎している。

 リカルドは、「良い点は悪い点より圧倒的に重要視されるべきだ」としたうえで、ビアンキに関しては、「あれ以来、鈴鹿に帰ってくると少し感傷的になる」と話した。(c)AFP