■頑健性がカギに

「ゴム膜の幾何学」とも呼ばれるトポロジーは、物理学では現在のところ、理論と実験の領域にとどまっている。

 だが、トポロジーの原理は10~20年以内に、特に量子エレクトロニクスや量子コンピューターの分野で、実用的および商業的な用途が見いだされることが広く見込まれている。

 例えば、消費電力が従来よりはるかに小さい新物質などが、この分野の研究から生まれることが期待される。

 フランス国立科学研究センター(CNRS)の物理学者、ダビド・カルパンティエ(David Carpentier)氏によると、トポロジカル物質の主要な長所は「変形させる力を受けても、その丈夫さが保たれることだ」という。「未来の量子コンピューターを構成するための基盤として研究が進められているのは、まさにこのトポロジーの頑健性なのだ」

 いまだ設計段階の量子コンピューターは、同時に2つ以上の状態をとり得る素粒子の性質を利用して、超高速の処理速度を実現することが見込まれている。

 だが、過熱が発生する危険性が高いため、この部分で、固有安定性を持つトポロジカル物質の断熱材が非常に役立つと考えられる。

 「私は、2年前なら(トポロジー研究の成果として)何かが量販店の棚に並ぶには少なくとも20年はかかると言っただろう」とアソレイ氏は話す。「だが今日では、10年かおそらくもっと早くそうなると言うだろう」(c)AFP/Marlowe HOOD Mariëtte Le Roux