【10月5日 AFP】カリブ海(Caribbean Sea)地域を見舞ったハリケーンとしては過去10年近くで最強の「マシュー(Matthew)」が4日、ハイチに上陸し、その後キューバを通過している。ハイチと、隣接するドミニカ共和国では合計で少なくとも7人が死亡したほか、住民多数が避難を余儀なくされた。米国の南部沿海部でも避難命令が出され、厳戒態勢が取られている。

 米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、マシューは強さが「極めて危険」に分類されるカテゴリー4(最大は5)の状態で4日明け方、ハイチ南西の町レザングレ(Les Anglais)付近に上陸。最大風速は約64メートルに達した。ハイチにカテゴリー4のハリケーンが上陸したのは52年ぶりだった。

 当局によると、ハイチでは乗っていた船が転覆するなどしてこれまでに少なくとも3人が死亡。同じイスパニョーラ(Hispaniola)島にあるドミニカ共和国でも、倒壊した建物の下敷きになるなどして子ども3人を含む少なくとも4人が死亡した。死者は今後さらに増えることが確実だ。

 ハイチでは、首都ポルトープランス(Port-au-Prince)と半島南部をつなぐ唯一のルートとなっている橋も崩壊した。

 マシューは4日午後にはキューバの東端を直撃。NHCによると、ハリケーンの最も勢力の強い部分である「目の壁(アイウォール)」の北側がキューバ東端で猛威を振るっている。

 米国でもこれまでに、サウスカロライナ(South Carolina)州が沿海部の住民110万人の避難を5日から開始する計画。海岸から160キロ以上離れた内陸に移動させる方針だ。またジョージア(Georgia)州は13郡に対して非常事態宣言を出した。

 マシューは週内に米東海岸沖に抜けると予想されている。(c)AFP/Amelie BARON