【10月4日 AFP】ボクシング世界ヘビー級王者のタイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)が3日、ツイッター(Twitter)で現役引退を示唆しながらも、直後に「俺はここにとどまる」と発言を撤回した。

 フューリーは「ハハハ、それほど簡単にジプシーキング(GYPSYKING、フューリーのツイッター上のハンドルネーム)を追い払えると思うのか?俺はここにとどまる。#ザグレイテスト(TheGreatest、偉人)が、メディアどもがどんなものか示してやっただけだ」と投稿すると、「回復次第、俺のものであるヘビー級王座防衛戦をやるつもりだ」と続けた。

 挑発的な言動で知られる28歳のフューリーは、その3時間前のツイートで汚い言葉を散りばめながら、「自分がやってきたことの中で、ボクシングは最も悲しいものだ。くだらないことばかりだよ。俺は偉人であり、そして身を引く」とつづり、「引退」を宣言していた。

 米スポーツ専門チャンネルESPNの報道で先日、コカインに陽性反応を示したことが伝えられたフューリーは、昨年11月にウラディミール・クリチコ(Wladimir Klitschko、ウクライナ)からWBA・WBO世界ヘビー級王座を奪取した。

 そしてクリチコとの再戦が今月、英マンチェスター(Manchester)で予定されていたが、キャリア最大のファイトマネーを稼ぐはずだったフューリーは先週になって突然、再び試合を延期すると発表。プロモーターのヘネシー・スポーツ(Hennessy Sports)は、AFPの取材に対してコメントできないと答えていたが、フューリーは別のツイートで「適切な支援を受け、以前よりも強くなって戻ってくる」と投稿している。

 ESPNの報道によると、フューリーは先月22日に英ランカスター(Lancaster)で、米ラスベガス(Las Vegas)に拠点を置くボランティア反ドーピング機関(VADA)の抜き打ち検査を受け、尿サンプルがコカインに陽性反応を示したと伝えられた。コカインは違法薬物ではあるものの、ボクシングでは、競技外であれば摂取することは禁じられていない。

「ジプシーキング」を自称するフューリーは、クリチコとの対戦でIBFのタイトルも獲得していたが、同団体から義務づけられていたビャチェスラフ・グラスコフ(Vyacheslav Glazkov、ウクライナ)との試合を行わなかったため、ベルトをはく奪されている。

 当初は今年の7月9日に予定されていたクリチコとの再戦について、フューリーは足首の負傷を理由に延期。その後、いとこのヒューイ・フューリー(Hughie Fury)とともに、英国反ドーピング機関(UKAD)からドーピング違反を指摘されたが、不正行為については否定している。

 クリチコから衝撃の勝利を収めた9か月前に採取されたフューリーの検体からは、禁止薬物に指定されている筋肉増強剤のナンドロロン(nandrolone)が検出された。これにより、フューリーは暫定資格停止処分を受けたものの、処分が明けて以降、UKADを提訴すると強行態度をみせている。

 フューリーは11月にUKADの聴聞会に出席することになっており、有罪になればタイトルをはく奪される可能性がある。(c)AFP/Steven GRIFFITHS