【10月1日 AFP】フィリピンの伝説的ボクサーとして知られるマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao、フィリピン)氏は30日、違法薬物に手を出した経験があると告白する一方で、ファンや国民に謝罪する義務はないと主張した。

 フィリピンの国民的英雄で、上院議員を務めるパッキャオ氏は、3000人以上が死亡しているロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の犯罪撲滅戦争を支援する大きな役割を果たしている。

 しかし現在37歳のパッキャオ氏は今週、若い頃に麻薬に手を出した経験があることをインタビューで認め、ボクシングで築いたその輝かしいキャリアを揺るがした。

 来月5日に米ラスベガス(Las Vegas)で行われるWBO世界ウエルター級王者のジェシー・バルガス(Jessie Vargas、米国)との復帰戦を控え、練習に臨んでいるパッキャオ氏は30日、「違法薬物を試したことがある事実を隠すつもりはないが、それは私が若くて15歳か16歳の時の話だ」と報道陣に明かすと、「マリフアナやシャブも使った」と当時の状況や使用した薬物の種類を詳細に語った。

 現地で「シャブ」と呼ばれる薬物は、安価で中毒性の高い覚醒剤の一種クリスタル・メス(メタンフェタミン)のことを指しており、ドゥテルテ大統領によればフィリピンの薬物中毒者のうち大多数を占める370万人が使用しているという。

 パッキャオ氏は薬物を使用した自身の過去について謝罪する必要はないと主張し、「なぜ謝らなければならない?私は何も過ちは犯していない」と強調すると、薬物依存症にならなかったのかとの質問には、「私は中毒でもなかった。ただ試しただけだ」と答えた。

 さらに、常習者がドラッグから抜け出すためのアドバイスを請われると、パッキャオ氏は体を鍛えることだと話し、「(ドラッグから)抜け出すのに有効だと証明された方法の一つは、とにかくエクササイズに励むことだ」とコメントした。

 今年5月に上院議員に選出されたパッキャオ氏は、司法手続きをせずに麻薬犯罪者を殺害して世界から批判を浴びているドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争について、最大の支援者の一人となっているほか、カトリック教徒が多いフィリピンで死刑制度を復活させるとする、同大統領の公約にも賛成している。(c)AFP