【9月15日 AFP】ホッキョクグマが生息する北極圏の19のエリアで、狩りや休息、繁殖に不可欠な海氷の減少が続いていると警告する研究論文が14日、発表された。

 欧州地球科学連合(EGU)の専門誌「The Cryosphere」に掲載された論文は、気候変動により北極圏の平均気温が上がったため、春の融氷が早まり、秋の氷結が遅くなっていると指摘している。

 研究チームによると、1979~2014年に19のエリアが氷に覆われていた日数の合計は、10年毎に7~19日の割合で減少していることが衛星データから明らかになったという。

 ホッキョクグマの世界全体の個体数は、約2万5000頭と推定されている。氷が解けるとホッキョクグマは陸に上がり、再び氷が形成されるまでの間、体に蓄えた脂肪で生き延びるが、この期間が一部で徐々に長くなっているという。

 国際自然保護連合(IUCN)は昨年、ホッキョクグマの個体数は今世紀半ばまでに3分の1近くに減少する恐れがあると発表している。

 世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示すIUCNの「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」では現在、ホッキョクグマは絶滅の危険が増大している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類されている。

 一方で、世界自然保護基金(WWF)は、海氷が減少するに伴い、陸上で生活するわれわれ人間とホッキョクグマとの接触機会が増えるだろうと指摘している。

 さらに、北極海航路のさらなる利用や、石油や天然ガス開発機会の増大なども、ホッキョクグマの生息環境を脅かす存在となっている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux