■がんも人生の一部

 シャカールが25歳という若さで自身のブランドを立ち上げたのは2009年。以後、オスカー女優のサンドラ・ブロック(Sandra Bullock)らの衣装も手掛けてきたが、ニューヨークでショーを開いたのは今回が初めてだ。

「オデイシャカール」が表現する女性像は世界の女性だと、彼は説明する。エレガントで流行に左右されず、クラッシックでありながら同時に最先端を行く彼のデザインは、文化や地理的な相違を超越してファンを魅了するものとなっている。

 シャカールはイラクを出てヨルダンとレバノンに住んだ後、米国に戻った。年齢も30代となり、イラクには18年近く帰っていないが、そこに残っている家族とは連絡を取り合っているという。

 2009年には甲状腺がんとの診断を受けたが、2011年以降、寛解を維持している。病気については、それも人生の一部と受け止めているようだ。

 ニューヨークに移り住んだのは約6か月前で、それ以後はこの街でがむしゃらにデザインとプロデュースに取り組んできた。「もちろん良い時もあればつらい時もあった」とシャカールは言う。「それでも私の人生の中で、特に意欲にあふれた時期だった」

 しかし、米国における人種や移民をめぐる議論には巻き込まれたくはないとしながら、「宗教や文化、性別にかかわらず、すべてを包容する平和と平等を私はただ信じている。それこそが最も重視されるべきものだ。われわれを分け隔てるものではなく」と話した。(c)AFP/Jennie MATTHEW