【3月15日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)で13日、第1回バグダッド・ファッションショー(Baghdad Fashion Show)が開催され、上流階級の人々を前に、華やかな服に身を包んだ脚の長いモデルらがキャットウオークを歩いた。

 イラク人デザイナーで主催者のシナン・カメル(Sinan Kamel)氏(35)は、「現在の政情や治安情勢の中でイラク政府や人々を力づけようとする試み」だと説明。市内のロイヤル・チューリップ・ホテル(Royal Tulip Hotel)での開幕にあたり、「今日私たちが世界に向けて発信する最も重要なメッセージは、イラクはまだ生きているということだ」と語った。

 同ホテルはサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権下で建設された大型建築物で、市内中心部の厳重警備区域グリーンゾーン(Green Zone)の端に位置し、地元では現在もラシード(Rasheed)ホテルの名前で広く知られている。着飾った約500人が来場し、ビートの利いた東洋風の音楽が改装されたホールの壁を揺るがす中、地元デザイナー6人のコレクションを着たイラク人モデル16人によるショーを楽しんだ。

 今回披露された作品の多くはアラブの伝統的な意匠を取り入れたもので、男性が頭にかぶる装身具「カフィーヤ」の模様をモダンで都会的なデザインの服にあしらったコレクションなどが観客を沸かせた。

 流行の刈り上げヘアにあごひげをたくわえ、タイトなジーンズにポケットチーフをのぞかせた紺のブレザーを組み合わせたファッションで来場したバグダッドの若手弁護士、モハメッド・ハムダニ(Mohamed al-Hamdani)さんは「こうしたものを見る機会はイラクではめったにありません。ファッションショーに来たのは初めてですが、楽しんでいます」と話した。

 主催者や観客らは、国内各地で戦闘が続く中、久しぶりに開催されたバグダッドとしてはここ数年で最大のファッションショーは格好の気分転換になったと口をそろえた。この日バグダッドの北約160キロメートルのティクリート(Tikrit)では、数千人規模の政府軍兵士と警察官、民兵らが、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」と激しく交戦した。(c)AFP