【9月2日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)、男子シングルス第2シードのアンディ・マレー(Andy Murray、英国)が1日、屋根が閉じられた会場のアーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)で、2万2000人の話し声が鼓膜が破れるほどの騒音に増幅される問題について言及し、選手側が慣れていくしかないという見解を示した。

 1日に行われたマルセル・グラノリェルス(Marcel Granollers、スペイン)との男子シングルス2回戦の序盤に、スタンドの話し声が集中できないほどの大騒音に感じたマレーは、審判に対して観客を静めるように要求していた。そして、総工費1億5000万ドル(約154億8000万円)の開閉式屋根に連打される集中豪雨が原因で、さらに増大された騒音にも懸念を示している。

 グラノリェルスを6-4、6-1、6-4のストレートで退けた世界ランク2位のマレーは「何も聞こえないんだ。線審のコールは聞こえるけれど、相手や自分がボールを打つ音はあまり聞こえない。打球のスピードやスピン、相手がどれだけ強打しているのか感覚をつかむためには、目だけではなく耳も必要なんだ。自分の耳をヘッドホンなどで覆ってプレーした場合、耳を覆っていない相手のほうが断然有利になるだろう」と語った。

 マレーはまた、特に試合が盛り上がるナイトセッションでは、以前から問題となっている全米オープンの騒音に慣れていくしかないと考えており、「反響音のせいで、テレビや現地での観戦が楽しめないというのであれば、問題を検討して対策を講じることになるだろう。だけど、テレビでは問題ないと聞いている。まだファンの意見は知らないが、実際にそうであれば選手の方が慣れていくしかないだろう」とコメントした。

 一方、前日の女子シングルス2回戦で第3シードのガルビネ・ムグルサ(Garbine Muguruza、スペイン)に番狂わせを演じたラトビアのアナスタシヤ・セバストワ(Anastasija Sevastova)も、同じコートで相手の打球が聞こえにくかったと苦情を述べている。

 この試合で屋根は開けられていたものの、アーサー・アッシュ・スタジアムを取り囲むように設置された巨大なウイングにより、音がこもる影響が出てしまった。セバストワは「打球の音が聞こえないときもあり、ボールがこっちに来ても、まだどこかにあるような感じがします。とにかく試合中もずっとうるさくて、想定外の状況でした」と明かした。

 今年の全仏オープンテニス(French Open 2016)を制したムルグサも、これほど騒々しいコートは初めてだと話しており、「コート内はすごく騒々しかったです」と困惑していた。