【8月3日 AFP】全米テニス協会(USTA)は2日、全米オープン(US Open Tennis Championships)のセンターコートであるアーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)に新設した開閉式の屋根の完成式典を行った。

 今回の屋根の改修は、米ニューヨーク(New York)にあるUSTA・ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター(USTA Billie Jean King National Tennis Center)の総額約6億ドル(約600億円)を投じた大改修の目玉だった。

 全米オープンでは、2008年から2012年まで5年連続で男子シングルスの決勝が雨の影響を受けて、日曜日から月曜日へ順延されていた。また、昨年大会(US Open Tennis Championships 2015)のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)対ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)の決勝戦でも、降雨により試合の開始が3時間遅れていた。

 今回新たに完成した屋根によって、今月29日に開幕する全米オープン(US Open Tennis Championships 2016)では、降雨によってセンターコートで行われる重要な試合が順延となることはなくなるだろう。

 しかし、今回の式典はすべて滞りなく終わらなかった。1度開いた屋根を、閉じるまでは順調に作動したが、改めてビリー・ジーン・キング(Billie Jean King)さんが屋根を開こうとした際に動作しなくなってしまったのだ。もう一度、開こうとするも動かず、屋根のセンサーシステムを再起動した後、ようやく3度目の試みで屋根を開くことができた。

 USTAの大会ディレクターを務めるゴードン・スミス(Gordon Smith)氏は、大会期間中の屋根の開閉は雨が降った時に限って行うと述べた上で、今回の不具合を「実際に行うような状況ではなかったからね」と弁明した。

 USTAは、屋根の新設に加えて、メインコートの一つであるグランドスタンドコート(Grandstand court)の改修も行い、8125人が収容可能になった。改修されたグランドスタンドコートは、コート自体が地面より低い設計となっており、日よけも設置された。また今後、以前はセンターコートとして使用していたルイ・アームストロング・スタジアム(Louis Armstrong Stadium)も改修する予定で、今年の大会終了後から工事に着手し、最終的に2018年をめどに、開閉式の屋根を設置する予定を明らかになっている。

 スケジュールが過密で、降雨などが大会の運営に多大な影響を及ぼすグランドスラムでは、全米オープンに限らず、開閉式の屋根の設置が以前から課題となってきた。

 全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament)では、四大大会(グランドスラム)の会場としては初めて、1988年に屋根を設置し、現在では3面のコートで屋根を設けている。また、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)のセンターコートでも、2009年に屋根が取り付けられ、2019年までにナンバー1コートにも屋根が新設される予定だ。

 一方、全仏オープンテニス(French Open)は他の3大会より対策に後れを取っているが、今年の大会で雨により大会の進行に多大な支障が出た影響から、今後、コート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)に屋根を設置することを検討している。(c)AFP