【9月2日 AFP】女性の月経が「邪悪」や「不浄」なものと考えられているパキスタンで、一人の起業家がこの月経をめぐるタブーを打ち破ることを目的とした携帯ゲームアプリを開発した。

 新たに開発されたゲームアプリ「MoHim」は、月経時の健康管理を意味する「Menstrual Health Management」の頭文字をとって命名された。子の名前には、ウルドゥー語で「努力」という意味もある。ゲームでは、経血の吸収に不適当な葉っぱや新聞紙など避けながら、女性用の下着で生理用ナプキンをキャッチするのが目的となっている。

 各レベルをクリアすると、「神話破壊の扉」を開けるための鍵を獲得できる。月経中の女性は料理や入浴をすべきでないなど、発展途上国でよくみられる月経に対する根深い先入観が、この扉を開けるごとに取り払われる仕組みだ。

 このゲームアプリを考案したのは、米首都ワシントン(Washington DC)にある世界銀行(World Bank)のアナリスト、マリアム・アディル(Mariam Adil)さん。

 アディルさんは8月31日にAFPの取材に応じ、パキスタンで月経に付きまとう悪いイメージを目の当たりにしたことが開発のきっかけとなったと述べた。少女たちの中には、恥ずかしさのあまり学校を毎月1週間休み、最終的に中・高等学校を退学してしまったりするケースや、生理中は入浴してはいけないと言われた女性たちが重い感染症にかかったりするケースもみられたという。

 ゲームを通じて社会変革を目指すパキスタンのベンチャー企業の責任者でもあるアディルさんは、「ビデオゲームでは、こうした社会が作り出した概念をテーマにすることで、プレーヤーに問題の解決を促すことができる。それも楽しみながら」と語った。

 MoHimの試作版は、8月から米アップル(Apple)の基本ソフト(OS)「iOS」搭載端末を対象に公開されている。(c)AFP