【9月1日 MODE PRESS】アーティスト/ギタリストのMIYAVIは、あらゆる面で比類のない存在だ。「セレッソ大阪」のジュニアユースにも所属した経歴、中性的な顔立ち、体中に刻まれた漢字のタトゥー、スラップ奏法によるパーカッシブなステージ、ハリウッド俳優としての顔、そして一番意外なのは彼の「家族愛」の部分ではないだろうか。公式SNSには愛らしい娘たちの写真が頻繁に投稿され、「一番大切なのは、家族と過ごす時間」と公言をはばからない。

 ロックスターであり父親であるMIYAVIは、ツアーなどで家族と離れている間もスカイプで頻繁に会話するという。「いつでも悩んだり相談したくなったりしたら、俺のところに連絡できるようにしています。どんどん娘たちも自我が芽生え始めていて、そういう意味でも彼女たちの成長を見ていくのが本当に楽しい」。シャープなルックスをもちながら笑顔で語るそのスタンスは、日本の人気ミュージシャンとしては珍しい例だ。

「子供たちは未来だ」と語る(2016年8月23日撮影)。(c)MODE PRESS/Shogo Takebayashi ‹BARK in STYLe›

■最大のクリエーションは、子供

「俺は教育こそが人類にとって最大のクリエーションだと思う」とMIYAVIは断言する。「音楽も映画も、いかなるものすべてはそこに集約する。教育とはすなわち、子供たち。子供たちとは、未来。未来とは、俺たちの明日であり、希望。極論、そこに尽きると思うんです」。それが普通でない社会に対してむしろ違和感を抱くとMIYAVIは語る。

 2014年に「教育と創作のため」に引っ越したLAでは、家族と仕事を同じラインに置くことが当たり前だった。「俺はそれが人の在り方だと思うし。何のために仕事してるのか?何のために生きてるのか?っていう部分で、本当の意味で、もっと本能的でありたい」

 アメリカではビジネス相手ともファミリーパーティーをするのが普通だ。「アンジー(Angelina Jolie、映画出演作の監督を務めたアンジェリーナ・ジョリー)や向こうのエージェントにも、家族と仕事の垣根はない。音楽も結局、何のためにやってるのかと言えば、誰かに伝えるため。それは自分のまわりの人たちであり、世界中の人たち。そして自分のまわりの人たちと世界中の人たちは繋がっているし、そうあるべきだと感じています」

LAへの移住が転機となった(2016年8月23日撮影)。(c)MODE PRESS/Shogo Takebayashi ‹BARK in STYLe›

■それでも惚れさせる自信がある

 MIYAVIにとって子供から得たインスピレーションを作品にしたり、子供に対して自分の作品を投影していったりすることは至って自然なことだ。そこに自分自身が没頭していくことに対して何の違和感もなく、むしろそういうアーティストでありたいと言う。

「バキバキにとがって、まだまだ攻めていくし、そこらへんのぬるい奴よりもシビれる音楽やってるつもり。でも家族は家族。もちろんマーケット的には切り離したほうが楽だったりもするけど、それでも俺に惚れる子は惚れるだろうし、惚れさせる自信はあるんで」

 人にはさまざまなフェーズがあるが、結婚したことでMIYAVIの表現と人間性は深みを増した。そしてそこに魅了されたファンも多いだろう。「そういう国であってほしいし、そういうふうな国に俺はしたいから。そのためには、自分がしっかりした音楽を作って、しっかりとした家庭を持つことが必要だと思います」