■自分たちのイディオムを守れ

 7月27日、ブルーノート東京で行われた「ピアジェ」のイベントでは、「Piaget Polo S」をまとい、圧巻のステージパフォーマンスを披露。普段は演奏の邪魔になるため、あまり腕時計を身につけなかったというMIYAVI。だが、違和感なく つけられるようになった理由を「自分の精神的な成長」だと語る。

「この歳になってやっとピアジェのクリエーションとも波動が合ってきたのかな。フォーマルな場だけでなく、たとえば娘の学校の送り迎えといったシチュエーションでもフィットし、凛として存在できるのが、この新しいウォッチの醍醐味だと思います」

ブルーノート東京での圧巻のパフォーマンス。(c)PIAGET

 またクリエーションの面でも「ピアジェ」の挑戦に共感したという。「誰もが気軽に発信できる時代の中で、どれだけ自分たちのディグニティ(尊厳)やイディオム(作風)を失わずに、かつ時代とリンクできるか。それは音楽でも時計でも同じ。どれだけ自分たちが作る意義やプライドをそこに投影できるか。そこが今回の彼ら(ピアジェ)にとっても一番大きなチャレンジだったんじゃないかなと思います」

「Piaget Polo S」を愛用するMIYAVI。(c)PIAGET

■アメリカでの最大の試練

 MIYAVIの波乱万丈な人生において一番大きな「ゲームチェンジ」は2014年、アメリカ・ロスアンゼルス(LA)への移住だった。「文化、言葉、歴史、認識などすべてが違う環境下で。やっぱり日本から見る景色と世界から見る景色は違う。今まで築いてきたもの、守ってくれていたもののない中での活動は、正直苦しかった」。それは世界中をロックしながら生きてきたMIYAVIにとっても過酷な体験だったという。

「レッドカーペット一つをとっても、右を見たらスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)、左を見たらクリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)でしょ。そこにギターも持たずにいる自分がいるわけです。そこでのアイデンティティーの確立は本当に大変でした」 

 しかしその恐怖は、光と影のように常に挑戦のそばに存在すべきものだとMYAVIは考える。「恐怖心はいつの日もある。言ってしまえば、毎日、ある。でもやり続けるしかないんですよね」。その試練を乗り越えられた理由を彼自身、こう分析する。

「その先にある希望や景色に自分自身がワクワクできているからじゃないかな。チャレンジするという行為に付随する不安や恐怖よりもそれが大きいと、たぶん人はその一歩を踏み出せる。俺はいろいろ考えるほうだけど、考えないで飛びこんでいく面もあるので。ゴールしか見ていない」

「今も恐怖とワクワクがひしめいている」と言う(2016年8月23日撮影)。(c)MODE PRESS/Shogo Takebayashi ‹BARK in STYLe›

■俺の生き方を見てほしい

 もちろん、引っ越しや転職などあらゆる転機を迎えようとしているであろうファンの存在も気にかけている。

「作品や音に自分の人生を投影して作っているので、その音楽でみんなの背中を押せたらと思います。同時に実際MIYAVIの生き方を見て『ああ、なにか新しいことやってるな。失敗もしてるな。これだったら俺もできるんじゃないかな』と思ってもらえれば幸いです。直接そばに行って手助けすることはできないわけだから、自分の生き方や作品を通じてそれを届けられたらと思い、日々、作品を作っています」

 情熱にかられ、自身の夢を叶え、世界に影響をもたらすゲームチェンジャー。MIYAVIはこれからも新たな挑戦を楽しんでいくことだろう。「人生は、絶えず続く学習過程である(“Life is a constant learning process”)」をモットーにしている彼は、現状に満足することなく、常に進化し続ける。このロックスターのもたらす変革を、今後も楽しみに目撃していきたい。

■関連情報
ロックギタリストMIYAVI、燃え上がる愛とビート【後編】
・ピアジェ 公式HP:www.piaget.jp
・MIYAVI 公式HP: http://myv382tokyo.com/

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