【8月18日 AFP】かつて体操大国として五輪に君臨したものの、ここ32年で最悪の成績でリオデジャネイロ五輪を終えた中国体操チームについて、国際体操連盟(FIG)のブルーノ・グランディ(Bruno Grandi)会長は、「ロボット」的なアプローチから脱却できなかった結果だと批判した。

 中国が体操競技で獲得したメダルは団体種目での銅2個のみ。金メダルを獲得できなかったのは1984年以降で初めてで、個人種目でメダルを獲得できなかったのも初めてだった。

 2008年の北京五輪から2大会連続で団体総合金メダルを獲得していた中国体操男子は今回、内村航平(Kohei Uchimura)を擁する日本に敗れた。そして中国勢は2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得した種目の連覇にすべて失敗した。

 メダルレースで開催国ブラジルにも劣る11位につけた中国について、グランディFIG会長は、時代の流れに乗り遅れたと指摘している。グランディ会長は16日、AFPの取材に対し、「中国はロボット方式の訓練にとらわれ続けた。今は少し変わり始めているが」と語った。

「変化のペースに乗れたのは日本だった。練習の構造を改善すると、東洋的な振り付けから脱却し、西洋的な方向に転換した。つまり、調和や想像力、創造力をより重視するスタイルをとったのだ」

「日本文化を批判するつもりはないが、彼らは観客志向で見ごたえのある演技を生み出した。伝統から離れた日本を、中国は見習うべきだ。もし今後も現状を維持するのであれば、彼らはロボットになる。幾何学的な線は完璧に作れるが、律動的な動きは存在しない」

 日本チームは、団体総合と内村の個人総合で2個の金メダルを獲得。さらに種目別の跳馬では、白井健三(Kenzo Shirai)が銅メダルを獲得した。

 イタリアの元体操選手であるグランディ氏は、20年にわたり務めたFIG会長を今年退任する予定で、次期会長選には日本体操協会の渡辺守成(Morinari Watanabe)専務理事が立候補している。

 グランディ氏は自身の最大の功績の一つとして、体操選手権に出場できる最低年齢を引き上げたことだとしている。中国はしばしば、未成年の体操選手を大会に出場させていると批判され、五輪の過去2大会でも論争を巻き起こしていた。

「私は(女子16歳、男子18歳への)最低年齢の引き上げに取り組んだ。奴隷制の一形態であるこの慣例を終わらせることに中国は反対した。7歳か8歳そこらの男の子が、一日7~8時間練習する状況を想像してみてほしい」

 中国にとって最後の希望だった17日の男子平行棒では、デン書弟(Deng Shudi)が4位、世界王者の尤浩(You Hao)も着地時に転倒して最下位の8位に終わった。

 ショックを隠し切れないデンは、競技直後は「頭が真っ白」だったといい、「重圧を感じた。午前2~3時くらいまで眠れなくて、ただベッドに横たわっていた。何が起きたのか分からない」と語っている。

 つり輪で4位に終わった劉洋(Liu Yang)は、涙を流しながら、「練習を続ける。2020年の東京五輪を楽しみにしている。チームメートのうち4人は五輪初出場だった。チームは経験不足だ。目標は達成できなかったが、チーム一丸となって努力した」と語った。(c)AFP