【8月8日 AFP】イタリアの有名シェフ、マッシモ・ボットゥーラ(Massimo Bottura)氏(53)が生み出す通常なら数百ユーロ(数万円)はする料理が、リオデジャネイロ五輪と同パラリンピックの開催中、ブラジルの貧しい人々に無料で提供される。

 イタリアのモデナ(Modena)にあるレストラン「オステリア・フランチェスカーナ(Osteria Francescana)」は、英レストラン業界誌「レストラン(Restaurant)」が今年度のベスト・レストランに選出した店。レストラン・ホテルの格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」でも三つ星を獲得している。

 そのオーナーシェフを務めるボットゥーラ氏のアイデアは、相反する浪費と貧困という社会問題に独創的で美味しいプロジェクトで取り組もうというもの。プロジェクトの舞台となるのが、複数企業の支援を受けて豊かな自然と五輪の興奮に包まれたリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)に8日にオープンするレストラン「レフェットリオ・ガストロモティーバ(Refettorio Gastromotiva)」だ。

 リオ市からレストラン用敷地の10年間の無償使用権が供与され、店内の装飾は著名ブラジル人アーティストのビック・ムニーズ(Vik Muniz)氏、家具はブラジルデザイン界の大御所カンパーナ(Campana)兄弟が手掛けた。

 料理に用いる食材は、五輪会場や選手村の調理業者から廃棄する余剰分を寄付してもらう。席数は108で、リオ市最大の貧困地区で活動する慈善団体が選んだ市民が招待される。

 入手した食材をもとにボットゥーラ氏のシェフチームが交代でメニューを決め料理を作る。食材は食べ残しではなく余りものを使う。チームにはフランス料理界の名シェフ、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏、クロード・トロワグロ(Claude Troisgros)氏らも名を連ねる。

 五輪とパラリンピックが終了した後は、通常のレストランおよび料理関連機関として運営される予定だ。

■原点は母との約束

 レフェットリオ・ガストロモティーバの広報担当者によると、ほかにも「昼食を買って夕食をご馳走しよう」というキャンペーンでは、プロジェクトの趣旨に賛同する人たちにレフェットリオ・ガストロモティーバで有料で食事をしてもらい、1人につき1食分を貧しい人に寄付する仕組みがあるという。

  ボットゥーラ氏は「有名になったら見捨てられている人たちに光をあてると母に約束していた。そして今、自分が受けた恩恵を世界にお返しする時が来たのです」と語った。(c)AFP/Laura BONILLA