フィリピン「麻薬戦争」の犠牲、積み上がる死者の山
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■暗躍する自警団、「メロドラマ」と大統領
警察は麻薬密売人の地下拠点と疑う場所に次々と一斉摘発を行っており、ほぼ毎晩のように死者が出ている。当局は、血だまりに伏せた容疑者の遺体の傍らには拳銃が転がっているとして、逮捕に抵抗した証拠だと主張している。
麻薬撲滅運動に同調したとみられる自警団による殺人も後を絶たない。夜、人通りのない通りや空き地で、顔を梱包用テープでぐるぐる巻きにされボール紙製の「麻薬密売人」と書いた札を首から提げた遺体が見つかるケースが相次いでいる。
ドゥテルテ大統領は就任後初の施政方針演説で、自らの麻薬撲滅運動を擁護。射殺されたシアロンさんを抱き締め嘆き悲しむオライレスさんの写真について、まるで15世紀の芸術家ミケランジェロ(Michelangelo)が彫刻した聖母子像「ピエタ(Pieta)」のようだと評し、十字架にかけられて死んだキリストを抱く聖母マリアになぞらえて「メロドラマ」と形容した。
オライレスさんによれば、亡くなったシアロンさんも大統領選でドゥテルテ氏に投票した1600万人以上の有権者の一人だったという。
殺害された人々の妻や親族たちが現場で泣き崩れ失神する中、各地の警察署には続々と麻薬常用者や密売人らが自首してきている。警察発表によると、出頭者の数は56万5806人に上っているという。(c)AFP/Noel CELIS