【7月28日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が27日、リオデジャネイロ五輪のロシア選手団と国家ぐるみの組織的なドーピングにより出場が禁止された選手の前で演説し、同国のトップ選手の不在で五輪の価値は「著しく下がる」と話した。

 露大統領府(クレムリン、Kremlin)で大統領と顔を合わせた中には、すでに出場を禁止されている100人の選手に含まれている陸上のエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva)やセルゲイ・シュベンコフ(Sergey Shubenkov)らもいた。五輪で2度の金メダルを獲得しているイシンバエワは、涙を流す場面もあった。

 大統領は演説で、「ロシアの選手、すなわち多くの競技の主役の不在が五輪を著しく弱め、争いを生ぬるいものにし、ひいては来る大会の盛り上がりを損ねるのは明らかだ」と述べた。

「ほかの競技者たちも、今回は獲得するメダルの質がいつもと異なるものになることを理解している」

 さらにプーチン大統領は、陸上選手団のほぼ全員とほか数十人の選手を除外した判断を政治的なものだと断じ、「法の範囲と一般常識を超えている」と話した。

 国際オリンピック委員会(IOC)が24日、ロシアの全面的な出場禁止を見送って出場可否の判断を各スポーツ団体に委ねたことで、8月5日の開幕が刻々と近づくなか、各団体は慌ただしく判断を迫られている。

 ロシアの選手団は28日早くに出国予定だが、まだ判断を明らかにしていない競技団体が複数あり、全387人の選手団のうち、実際にどれだけの人数がリオ五輪の舞台に立てるかは依然として不透明な状況が続いている。

 そのなかでこの日は、国際陸上連盟(IAAF)が、五輪に参加できるロシアの陸上選手は女子走り幅跳びのダリア・クリシナ(Darya Klishina)のみだと改めて明言した。クリシナは、米国を拠点に活動し、ロシアのシステムの外にいたことから、出場を認められている。

 ロシアにとって明るい知らせもあり、国際フェンシング連盟(FIE)は、ロシア選手全16人の出場を認めると発表。またロシアのトランポリン関係者が国営タス通信(TASS)に語ったところでは、トランポリンの選手も国際団体から「口頭で許可」をもらったという。(c)AFP/Maria PANINA