【7月17日 AFP】4歳の息子を必死で探し、よろめきながらフランス南部ニース(Nice)の小児科病院から出てきたタハール・メジリ(Tahar Mejri)さんは疲れきった表情をしていた。

 メジリさんは、ニースで革命記念日(Bastille Day)の花火の見物客にトラックが突っ込んだ瞬間、人生が変わった大勢のうちの一人だ。14日に起きた事件ではこれまでに84人が死亡、約200人が負傷した。

「警察署、病院、フェイスブック(Facebook)、あらゆるところで呼び掛けてきたが、息子は見つからない。48時間も探しているのに」とメジリさんはAFPに話した。

「妻は死んだ。息子はどこだ?」

  数時間後、メジリさんはニース北部にあるパスツール病院(Pasteur Hospital)で息子が死亡したことを知った。

 トラックを運転していた男が警察に射殺された後、事件現場となったニースの海岸沿いの遊歩道、プロムナード・デザングレ(Promenade des Anglais)には、多くの人形やベビーカーなどが残されていた。事件の犠牲者には子どもと10代の若者10人も含まれている。また現在も、子ども5人と大人21人が重体となっている。

 ランバル財団(Lenval Foundation)小児科病院には30人の子どもが搬送されたが、このうち2人は死亡した。

 病院の広報担当者によると、最も幼い負傷者は生後6か月の赤ちゃんだったという。病院にはいまだ身元が特定できていない8歳の少年も入院している。

 事件の犠牲者には、妊娠7か月の妻をトラックの進路から押し出した直後に死亡した27歳の男性や、三世代6人の家族連れのほか、ドイツやスイス、米国、アルジェリア、ロシアなどから訪れていた外国人も含まれている。また、双子で事件に巻き込まれた姉妹もおり、1人が死亡、1人は意識不明となっている。(c)AFP