【7月1日 AFP】家具販売大手のイケア(IKEA)のこれまでの歩みを紹介するミュージアムが6月30日、スウェーデンにオープンした。これまでに発表した家具はもちろん、ナチス・ドイツ(Nazi)の影響を受けた創業者の過去に触れた展示もあるという。

 ミュージアムは、イケアが1958年に初の店舗を構えたスウェーデン南部の小さな町、エルムフルト(Almhult)にオープンした。オープン初日、高齢者を中心に約1500人が集まり、施設前では、ホットドッグやスウェーデン風のシナモンロールなど、イケアでおなじみのライトスナックも売られていた。

 ミュージアムは、7000平方メートルの広さを誇る。来館者がまず目にするのは、創業者イングバル・カンプラード(Ingvar Kamprad)氏(90)が事業を立ち上げた経緯について説明する展示だ。

 次のセクションでは、これまでの人気の高かった商品が並び、創業以降の軌跡をたどる展示となっている。その一方で、座ると空気が抜けてしまい、リコールの対象となった、空気を入れて使うエアソファや肘掛け椅子なども展示されている。これらはもちろん不人気商品だった。

 他方で、カンプラード氏とスウェーデンのナチス政党の関係など、イケアを取り巻く「闇」の部分にスポットを当てた展示もある。この展示には「過ちから学ぶ」というタイトルが付けられている。

 ここには「イケア・ファミリー」に宛てたカンプラード氏による手書きの手紙(複製)がある。手紙には、同氏が「最大の失敗」と呼ぶ、スウェーデンのファシズム運動指導者の故ペル・エングタール(Per Engdahl)氏とのつながりについての詳細と概要がつづられている。

 この自らの過去について、カンプラード氏は「自分の人生でひどく後悔している部分」としている。

 ミュージアムのオープン当日、カンプラード氏は式典を見渡せるバルコニーに少し姿を見せただけで、すぐに引っ込んでしまった。ただ、開館数時間前に館内の見学だけは済ませていたという。(c)AFP/Sören BILLING