【6月29日 AFP】米国とロシアの軍艦が今月、地中海(Mediterranean Sea)で異常接近したことを受け、両国政府は28日、海上で危険な操船をしたとして互いに非難した。

 ロシア国防省は、ロシアのフリゲート艦ヤロスラフ・ムドリー(Yaroslav Mudry)が今月17日に地中海を航行していたところ米国の駆逐艦グレーブリー(USS Gravely)が進路を横切り、2隻は「危険なほど接近した」と発表した。

 ロシア政府は、1972年に当時のソ連と米国が署名した海上事故防止協定に米海軍が違反しと主張し、海上での衝突事故を防止する国際規則に対する重大な違反だと指摘した。

 一方、米国の国防総省関係者の説明は全く異なっている。匿名を条件に語った同関係者によれば、ロシアのフリゲート艦の方が米駆逐艦に意図的に接近してきたという。

 同関係者によると、ロシアのフリゲート艦は、最初にグレーブリーから約3キロの位置に付けた際に操縦性能が制限されていることを示す国際信号を掲げていたという。「しかし(フリゲート艦の)動きから、実際は操縦性能が制限されていないことが分かった。つまり故意に虚偽の国際信号を掲げていたということだ」と述べている。

 ロシア側は、フリゲート艦が航行していたのは国際水域であり、米国の駆逐艦にとって危険な操船はしていないと主張している。米当局関係者らは2隻の軍艦がすれ違った距離は315ヤード(約288メートル)以内だったと述べているが、ロシア側はわずか「60~70メートル」だったとしている。

 ウクライナ危機をめぐり、米露間の緊張は冷戦(Cold War)以降で最も高まっており、米国防総省はこの数か月、バルト海(Baltic Sea)でロシア軍機が米軍の航空機や艦艇に異常接近した事例をたびたび報告している。(c)AFP