■失われた「本当の意味」

 慈善団体が昨年行った調査によると、ムスリム女性の大多数が同慣習はイスラムの教えに反するとして廃絶を望んでいた。調査対象となった女性4000人のうち500人ほどが、この慣習によって離婚を余儀なくされていた。

 同団体は最近、この慣習の禁止を求める運動の一環として、イスラム教徒約5万人分の署名を集めた。

 イスラム教の聖典コーラン(Koran)は、離婚の手続きには90日間が必要と記している。最初にタラークを伝えてから30日後に、もう1回、さらに30日後にもう1回通達するのだ。イスラムの宗教学者たちは、こうした猶予があることにより、夫婦が結婚生活を見直し、和解に至る可能性が与えられると指摘する。

 首都ニューデリー(New Delhi)のジャミア・ミリア・イスラミア大学(Jamia Millia Islamia University)でイスラム学を教えるアクタルール・ワゼイ(Akhtarul Wasey)教授によれば、タラークの慣習はもともと、夫が妻に「精神的ショックを与える」切り札としてのみ使われていたものだったという。タラークを延々と発し続けたのちに取り下げるのだ。

「(だが)その本質が失われ、恣意(しい)的な法律になってしまった」と、同教授は言う。

 しかし、インドのイスラム教指導者たちは、宗教的アイデンティティーが崩壊するのを恐れて、この私法の改正に消極的だ。改正すれば、ヒンズー教徒の強硬派に同法の廃止を迫る言い訳を与えかねない。

 ボパール在住のシャイスタ・アリさんは、夫から突然離婚され家から追い出された後、宗教指導者たちに助けを求めた。だが彼らは「夫の家族の肩を持った」と、彼女は言う。

 メムードさんは離婚を受け入れたが、ほかの女性たちが同じような経験をしないようにと、タラーク慣習の改正を望んでいる。

「タラークを廃止することはできないけど、男性がタラーク、タラーク、タラークと言う前に熟考するように、何らかの罰則が規定されるべきだ」と、彼女は語った。(c)AFP/Jalees ANDRABI