【5月23日 AFP】ロンドン(London)きっての高級住宅街を走る黒いバスが提供するのは、一味違った観光──汚職に手を染めた世界の富豪や役人が購入した高級住宅を巡るツアーだ。

 この「泥棒政治」ツアーは、反汚職運動に取り組むロマン・ボリソビチ(Roman Borisovich)さんが始めた。狙いは、ロンドンの高級住宅を高騰させる「汚い金」と、それを可能にさせた英国の「協力者」達を暴露することだ。

「このツアーの狙いは、ロンドンの不動産を通じて行われている巨額のマネーロンダリング(資金洗浄)に注目を集めることです」。ボリソビチさんは、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相が今月主催した反汚職サミットに先立ち実施したツアーで、AFPの記者にこう語った。

 英議員や活動家、メディア関係者らを乗せたツアーバスが立ち寄った場所の一つが、ロンドン北部ハムステッドヒース(Hampstead Heath)近くに位置する、6つの寝室と室内プールを備える邸宅だ。かつては、ナイジェリアの産油地、デルタ(Delta)州のジェームズ・イボリ(James Ibori)元知事の持ち家だった。

 イボリ元知事は2012年、英国での裁判で資金洗浄と詐欺共謀の罪10件で有罪を認め、禁錮13年の刑を言い渡されて収監されている。

 ロックバンドU2のボーカル、ボノ(Bono)が立ち上げた団体で、ツアーを共催している「ワン・キャンペーン」のサイラ・オマリー(Saira O’Mallie)さんは「汚職は発展途上国のものだと思われている。しかし、実際は英国や多くの欧州の国、そして米国にもある。われわれの目と鼻の先で行われているのです」と語った。

 ロンドンには、オフショア企業を通じて所有されている不動産が3万6000件以上ある。イングランド(England)とウェールズ(Wale)では、オフショア企業が持つ不動産の価値は合計1220億ポンド(約19兆5000億円)に上る。