【6月6日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2016)は5日、男子シングルス決勝が行われ、大会第1シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は3-6、6-1、6-2、6-4で第2シードのアンディ・マレー(Andy Murray、英国)を下し、四大大会(グランドスラム)全制覇を達成した。

 世界ランク1位のジョコビッチは、昨年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2015)から、グランドスラムで4大会連続の優勝を飾ると、1938年のドン・バッジ(Don Budge)氏、1962年と69年のロッド・レーバー(Rod Laver)氏に続き、直近のメジャー全タイトルを保持する快挙を成し遂げている。

 12度目の全仏挑戦でついに初優勝を果たした29歳のジョコビッチは、男子では1969年のレーバー氏以来となる、年間グランドスラムの達成にも望みをつないだ。

 ジョコビッチは、サービングフォーザセットを迎えた第4セットの第8ゲームで、まさかのブレークを許すと、第10ゲームでもマッチポイントを2回ふいにするなど、簡単に試合を決めることはできなかった。

 しかし、3度目のマッチポイントでマレーのバックハンドがネットにかかると、ジョコビッチはコートに倒れ込んだ。

 男子ツアーで、歴代8人目の生涯グランドスラム達成者になったジョコビッチは、「第4セットで2度目のブレークを奪い5-2と先行したとき、笑いが込み上げてきた。そんな心境だったんだ。正直、そこまでのプレッシャーはなかった。そこで気を抜きすぎて、次のゲームが乱れたのかもしれない」と振り返った。

「最後のポイントは、何が起こったか覚えていない。あの場面では、そこにいるので精いっぱいだった。まさに幽体離脱したような気分で、最後のラリー3~4回は、右や左に走る自分の体を外から観察し、アンディがミスするのを待っているような感覚だった。そして、それが現実になった」

「とても特別な瞬間、キャリア最大のものになった。今日は、過去の全仏でも経験したことがない感覚を味わった。観客の皆さんの愛を感じた」

 これまで、全仏で3度の準優勝に甘んじていたジョコビッチは、念願の初優勝を飾ったと同時に、同い年のマレーとの対戦成績を24勝10敗に伸ばした。

 マレーは決勝戦を終え、「ノバクが過去12か月間で達成してきたことは驚異的だ。1年間で全てのグランドスラムを制するなんて、信じられない。テニス界でもなかなか起こらないことだ。個人的には試合に負けて最悪だけどね」と、皮肉交じりにジョコビッチを祝福した。(c)AFP/Dave JAMES