■「争い長引く」と専門家

 今回の騒動を受けて同国のアバディ首相は、「政府施設に乱入する行為は受け入れられない」としたが、「平和的なデモを行う人々の意見は支持する」と述べた。

 一方サドル師は20日、「平和的なデモ」は今後も続行されると述べ、抑圧を試みた場合は「革命が別の形を取る」と警告した。

 2014年の首相就任以降、汚職と歳出の抑制を目指していくつかの改革を試みてきたアバディ首相は、最近は政党との結びつきが強い閣僚をテクノクラートに置き換えた新内閣の樹立を目指していた。しかし任命権を権力の源としている与党を含む主要各派がこの構想に抵抗している。

 サドル師は表面上はアバディ首相の改革を支持しているが、デモ隊がグリーンゾーンに乱入するたびにアバディ首相が弱体化したという印象を与えており、シーア派の他の勢力を激怒させている。

 デモ隊が議会に乱入した先月末以降、議会は開かれていない。今月26日に開かれる予定だが、20日に新たに騒ぎが起きたことで、どこで審議を行うかという問題が持ち上がっている。

 イラクの軍事作戦と武装勢力の活動について調査している戦争学研究所(Institute for the Study of War)のキンバリー・ケーガン(Kimberley Kagan)代表は「争いは長引き、勝者と敗者が生まれるだろう」と述べ、イラクの政治危機は深刻になりすぎて、全ての勢力が体面を保てるような合意は不可能になってしまったとの見方を示した。(c)AFP/Ammar Karim