【5月21日 AFP】イラクで20日、イスラム教シーア派(Shiite)指導者、ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師の支持者らによるデモ隊が旧米軍管轄区域「グリーンゾーン(Green Zone)」にある首相府になだれ込む事件が発生した。同師の支持者らによるグリーンゾーン乱入は過去3週間で2回目となり、同国の政治的混乱をさらにエスカレートさせている。

 サドル師支持者らは、首相府を警備する治安部隊からの抵抗に遭ったものの、一部が警備を突破して首相府内になだれ込んだという。しかし、治安部隊は催涙弾や高圧放水砲、音響爆弾などを使った上、空に向けた発砲で対抗してデモ隊を押し返したという。

 イラクの治安・医療当局によると、今回の騒動で軍人を含む少なくとも58人が負傷し、同国の統合作戦軍(Joint Operations Command)は期限を設けずに夜間外出禁止令を発令した。

 サドル師支持者は政治改革と内閣改造を求めて過去数週間にわたりデモを続けており、進展がない場合は再びグリーンゾーンに乱入すると警告していた。同師は20日、「平和的なデモ」は今後も続行されると述べ、抑圧を試みた場合は、「革命が別の形で起こる」と警告した。

 サドル師支持者らは、閣議室を含む首相府内で撮影した写真をソーシャルメディアに投稿したが、後に撤退した。今回の騒動時にハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相が首相府にいたかどうかは明らかになっていない。

 今回のデモでは、デモ参加者の一部がイラク議会付近にあるグリーンゾーンの門を破壊して中に乱入したものの、大部分は中に入らずグリーンゾーンの外にとどまったという。同国の治安及び医療当局によると、デモ参加者の中には銃弾による負傷者もいたものの、発砲のほとんどは空に向けて行われたもので、負傷者のほとんどは催涙弾によるものだった。(c)AFP/W.G. Dunlop and Ahmad al-Rubaye