【5月17日 AFP】昨年8月、タイの首都バンコク(Bangkok)で20人が死亡した爆発事件で、爆発物を仕掛けたとして起訴された中国少数民族ウイグル人の被告が17日、収監中に不当な扱いを受けていると主張し、出廷する途上で「私は人間だ」と繰り返し叫んだ。

 バンコク中心部の「エラワン廟(びょう)」(Erawan Shrine)で起きた爆発事件では、中国人観光客を中心に20人が死亡した。爆発の直前にエラワン廟に荷物を置くところを監視カメラに捉えられた黄色いシャツの男として、中国国籍でウイグル人のビラル・モハメド(Bilal Mohammed)被告(31)が起訴されたが、共犯とされる同じウイグル人のユスフ・ミエライリ(Yusufu Mieraili)被告(26)ともども爆破事件の犯行を否認している。

 この日、丸刈りの頭で出廷したモハメド被告は苦しそうな表情を見せながら、報道陣にウイグル語と英語で不満を叫び始めた。法廷内でのドラマは続き、モホメド被告はウイグル語の通訳を介しながら「食べることもできないし、私が祈ると笑われる」と述べるとともに、タイ人の看守に殴打されたり、イスラム教の戒律に則ったハラルフードを与えられなかったりすると訴えた。

 モハメド被告の弁護人はこれまでに、タイの警察が被告に自白を強要していると非難しており、被告による当初の自白は後に撤回されている。一方、警察側は拷問疑惑はばかげていると一蹴している。

 事件に関連する容疑者はいまだ多くが逃走中で、主犯格も含め大半は国外にいると考えられている。動機に関する確証はまだないが、事件の約1か月前にウイグル人移民109人がタイから中国へ強制送還されたこととの関連を疑う声が根強い。しかしタイ当局はこの説を否定し、人身売買組織に対する取り締まりへの報復とみている。(c)AFP