【5月13日 AFP】ハッカーによる銀行への攻撃で、1日当たり数十億ドル(数千億円)規模の資金移動が行われる世界最大の銀行間通信ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」が不正利用されたと、米メディアが12日、報じた。今年2月には、バングラデシュ中央銀行の口座から8100万ドル(約90億円)が盗まれる事件があったばかり。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)とウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、SWIFTは13日に発表される声明の中で、今回の攻撃はSWIFTに関連した銀行の内部システムへの攻撃だったと述べ、SWIFTのシステムに侵入しようとする企てが広範囲にわたっていることの証左であると述べている。

 報道によるとSWIFTは今回のマルウエア(悪意のあるソフトウエア)攻撃について、標的になったのはある商業銀行で、この銀行の有効なコードが悪用され、SWIFTの通信メッセージが送信されたという。標的となった銀行の名前は明らかにされていない。

 今年2月にはバングラデシュ中央銀行が米ニューヨーク連邦準備銀行(Federal Reserve Bank of New York)に保有する口座から8100万ドルが盗まれてフィリピンの口座に送金される事件があり、現在も捜査が続いている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は「いずれの事件でも、SWIFTの中核となるメッセージシステムには侵入されていない」と述べ、「犯罪者たちはむしろ、銀行のSWIFTネットワークへのコネクションを攻撃した」と報じている。

 報道によると、SWIFTは13日の声明の中で、2月の事件と今回の事件には多くの共通点があり、攻撃者が「標的にした銀行で行われている特定の作業手順について、深く高度な知識を有していることは明らか」と述べている。(c)AFP