■リニューアルは吉か凶か

 主流へシフトしようとするプレイボーイの動きは、推定5億ドル(約540億円)での親会社売却の動きや、この邸宅自体の売り出しの動きと重なっている。ただし、屋敷の売り出しには条件が付いている。現在90歳のヘフナー氏が生涯、この邸宅に住むことだ。

 プレイボーイ・マンションでインタビューに応じた同誌編集ディレクターのジェーソン・ブールメスター(Jason Burhmester)氏によれば、1972年のピーク時には700万部を誇った発行部数は現在80万部ほどだ。だが、ヘフナー氏は今も正式な編集長として、すべてのページにサインをしている。

「彼が一語一句を読んだり、ストーリーを編集する必要はないが、編集部からは週に2回、すべてのレイアウトを送っている。彼は何がどうなっているかを知りたがり、写真や記事に目を通し、あれこれ修正をかけるときもある。史上最も成功した雑誌の編集長と議論するのはタフだよ」

 交流サイトのユーザーがシェアするのをためらわないような内容に変更して以降、プレイボーイの電子版「Playboy.com」の月間ユニークビジター数はたちまち5倍に増えた。また読者の平均年齢も47歳から、広告主がより好む30歳へと下がった。

 リニューアルはヘフナー氏の発案ではなく、リニューアルをめぐりヘフナー家には亀裂が入っている。ヘフナー氏の娘のクリスティーさん(63)はリニューアルに賛成したが、息子のクーパーさん(24)は決定を批判している。

 一方、業界通からは、プレイボーイが過去のソフトポルノ路線を断ち切れるのかと、疑問の声も上がっている。出版アナリストのサミル・フスニ(Samir Husni)氏は「存在意義がもはやあるべきところにないのだから、(同誌に)未来はない」と言う。

 ライバル男性誌ハスラー(Hustler)の帝国を築いた創刊者のラリー・フリント(Larry Flynt)氏は、プレイボーイがヌード掲載を減らすことにヘフナー氏が同意したということを知って、米CNNテレビに対し「彼が年を取ったのは分かっている。だが、あの精神まで失ってしまったとは知らなかった」とコメントしている。(c)AFP/Frankie TAGGART