■ショッピング付きプランも

 アーチャーさんが手術を受けたのは、ニューデリー北部のオルメック・センター(Olmec Centre)というところで、手術費は6000ドル(約64万円)。米国でかかる費用の5分の1だった。同センターでは、術後のケアや宿泊場所、空港間の送迎、タージマハル(Taj Mahal)などの観光やショッピングツアーを含む2万2000ドル(約240万円)のプランも提供している。

 同センターの創設者で形成外科医のナレンドラ・カウシク医師は、年間200件の手術を手掛けているが、以前は年間数人だった外国人の数は20人程度にまで増えていると語る。英米やオーストラリアなどの先進国からは、自国よりも安い費用で手術を受けようとする人々、また発展途上国からは、自国よりも質の良い医療を求める人々が訪れているという。

 インド政府は、成長を続ける医療観光(メディカル・ツーリズム)産業を積極的に推進している。最近では医療観光客向けの「M」ビザ(査証)の発行手続きを迅速化し、有効期限も1年間とした。インド産業連盟(Confederation of Indian Industry)によれば、メディカル・ツーリズムの産業規模は現在3億ドル(約320億円)程度で、2020年までにはさらに倍以上にふくらむと見込まれている。

 米コンサルタント会社ペイシェンツ・ビヨンド・ボーダーズ(Patients Beyond Borders)によれば、年間25万人以上の外国人が、人工股関節置換術から整形美顔術まで、ありとあらゆる手術を受けるためにインドを訪れている。タイの200万人に比べればまだ少ないが、同社のジョゼフ・ウッドマン(Josef Woodman)最高経営責任者(CEO)は、インドは今後3~5年で性別適合手術のリーダーになると予想する。