■負の遺産は今も

 2009年、2度目のジロ・デ・イタリア総合優勝を目指したディルーカ氏だが、ここで2位に甘んじると、同年のドーピング検査で持続性エリスロポエチン受容体活性化剤(CERA)に陽性反応を示したことが発覚し、トップ選手の名声を傷つけられた。

 翌年、イタリア五輪委員会(CONI)に2年間の出場停止処分を科されたディルーカ氏は、ドーピングに関する専門的な証言をする見返りに、処分を9か月に短縮することに成功。しかし、2013年のジロ・デ・イタリアで再びドーピング違反が発覚した。

 ヴィーニファンティーニ・セッレイタリア(Vini Fantini-Selle Italia)から参戦していたディルーカ氏は、ジロ・デ・イタリア開幕前に実施された競技外検査で、検体から造血剤のエリスロポエチン(EPO)が検出されたことが明らかになり、2013年末にCONIから永久追放処分と罰金4万ユーロを言い渡された。

 自転車競技では近年、生体パスポートの導入など、ドーピングの撲滅に向けたさまざまな手法が確立されている。それでも、ドーピング検査と違反者はいたちごっこを続けていると、批判する声も多い。

 ディルーカ氏は自叙伝の中で、ドーピングという負の遺産は今も「血の掟」として、自転車界に残っていると語っている。

「自転車界では、誰もが真実を知っている。しかしその真実は、受け入れられるものではない。チームの首脳陣が『私は何も知らないんだ』と言ったら、それはうそだ」

「違法な薬物を摂取したら、その人はたちまちうそつきになる。家族、妻、メディア、フィジオ、メカに対して、さらには、他の選手にもうそをつくようになるんだ」

「誰もがドーピングをしていると、自転車選手なら全員が知っている。それでも声をあげる者はおらず、中にはパンと水だけで(薬物を摂取せずに)レースしていると主張する者までいる。うそをつくことが、呼吸と同じくらい自然になってしまった証拠だ」

(c)AFP/Justin DAVIS