■すごさが実感できるのは「しばらく経ってから」

 サッカー界は現在、レスターの快挙の意味を少しずつ受け入れようとしている段階にあり、ラニエリ監督自身もまだその意味を測りかねている。

 ラニエリ監督は「今は世界中の人がレスターのことを話題にしている。何が起きたんだとね。だけど今は少し時間を置いて、上質なワインのようにゆっくり味わう時期だろう。堪能するんだ。成し遂げたことの意味を考えるのは、まだ早すぎるかもしれない」と語っている。

「もしかしたら、1年か2年が過ぎればもっと理解が進むかもしれないが、現時点で大切なのは、高いところにいるということだ」

 レスターは7日に行われる今季ホーム最終戦のエバートン(Everton)戦で、優勝トロフィーを授与される。それが終われば、今度は連覇のかかる来季のリーグ戦、さらにはクラブ初挑戦となる欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2016-17)に目を向けなければいけない。

 それでもラニエリ監督は、「われわれにスーパースターは必要ない」と話し、クラブにビッグネーム獲得を要請するつもりはないことを明かした。

「必要なのはわれわれの選手たちだ。ご存じのとおり、レスターは(1月に)デマレイ・グレイ(Demarai Gray)、ダニエル・アマーティ(Daniel Amartey)を獲得した。それも同じだ。2人はチームに加わってまだ半年も経っていない」

「私はビッグスターなしで、正しい選手を集めてチームを強化したい。5人、6人、7人、8人の選手が必要だという話をするのは時期尚早だ。もう少し待ってほしい」

 ラニエリ監督自身は、ナイジェル・ピアソン(Nigel Pearson)前監督の後を継いだ昨年、レスターと3年契約を結んでいる。そのため、契約更新を焦るつもりはないようで「時間がまだあるのに、どうして新しい契約にサインする必要があるんだ?」と話している。

 レスターの選手たちは、2位トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)とチェルシー(Chelsea)が引き分けて優勝が決まった試合を、エースストライカーのジェイミー・バーディー (Jamie Vardy)の自宅に集まってテレビ観戦した。

 対してラニエリ監督は、自宅で夫人と一緒に観戦していたという。後半38分にチェルシーのエデン・アザール(Eden Hazard)の同点ゴールが決まった瞬間はどうだったかと問われると、「肘掛椅子に座っていたのに、次の瞬間には天井にいたよ!」と答えた。(c)AFP/Kieran CANNING