【5月3日 AFP】香港(Hong Kong)で2日、地元新聞社の著名編集者が最近、いわゆる「パナマ文書(Panama Papers)」問題に関連する記事を1面に掲載した後に解雇されたことに抗議し、数百人が同紙本社前でデモを行った。

 解雇されたのは、調査報道紙として知られる明報(Ming Pao)の姜国元(Keung Kwok-yuen)氏。デモには、記者や活動家、一般市民など約300人が参加し、姜氏が解雇されたのは、中国政府が統制を強化しているのに伴い香港の報道の自由が侵害されていることを改めて示すものだと主張した。

 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が先月公開したパナマの法律事務所モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca)の内部文書、いわゆる「パナマ文書」からは、同事務所がいかにして中国の富豪や有力者らの財産をタックスヘイブン(租税回避地)に集める手助けをしていたかが暴露された。

 姜氏は、パナマ文書の新たな暴露に関係する香港の実業家や政治家に関する記事を1面に掲載した直後に解雇された。

 同紙職員組合の代表は、「市民は香港の報道の自由について強く懸念している。われわれは中国の人権状況といったデリケートな政治問題を含め、数多くのニュースを網羅し、良い仕事をしてきた」「姜氏解雇の本当の理由について、(経営陣からの)はっきりした説明を要求する」と述べた。

 記者らは、姜氏解雇の決定を下したのは、親中派とみられているマレーシア出身の鐘天祥(Chong Tien Siong)編集長だと指摘している。

 鐘氏は2年前、調査報道を手掛けるベテランジャーナリストとして知られる劉進図(Kevin Lau)氏の後任として編集長に就任し、同紙職員からの抗議を招いた。劉氏はそれから間もなく、白昼に刃物で襲われて重傷を負い、その際にも報道の自由を危惧する声が強まっていた。(c)AFP