■「壊れた心」

 AFPは、アヘン密輸ルート沿いにあるパキスタン国境に面した悪名高い町スピンボルダク(Spin Boldak)で、モヒブラ君の家族を見つけ出した。家族は、彼の話の詳細の多くについて事実だと認めた。

 母親はベールの下で静かに泣きながら、息子の無実を訴えた。「ネコを怖がるんですよ。そんな子が自爆なんてできますか」と語ると、自分は6人の子どもたちを食べさせていくのもままならないのに、弁護士を雇う余裕などあるはずがないと嘆いた。

 スピンボルダクでは、パキスタンのイスラム神学校で教育を受けることが伝統的な通過儀礼とみなされている。神学校からは、頻繁に子どもたちが逃げ出し、警備が薄い国境を越えることが知られている。

 モヒブラ君の弟は、ボクサーになることが夢だった兄と遊んだ思い出を懐かしみ、「モヒブラがいなくてすごく寂しい」と語った。

 モヒブラ君が他の9人と共に生活する監房の扉には、「壊れた心」という意味の言葉が刻まれている。

 刑務所の法務担当官に「君は空手みたいな危ないことを仲間に教えているだろう」と冗談めいた言葉を投げかけられると、モヒブラ君は「ボクシングです」と答え、笑った。法務担当官が「君は出所したら強いボクサーになるな」と言うと、モヒブラ君の笑顔は少し広がった。(c)AFP/Anuj CHOPRA