パキスタン、少数派を襲う冒涜リンチの恐怖
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【1月25日 AFP】パキスタンで2014年、文字の読めないキリスト教徒の夫婦が、イスラム教の聖典コーランの一部をゴミとして捨て、コーランを冒涜(ぼうとく)したとの濡れ衣を着せられた。夫婦は激怒したイスラム教徒の集団から暴行を受けた後、れんが工場の窯で焼かれて殺害された。当時4歳だった夫婦の娘、アリヤさん(偽名)の人生は音を立てて崩れ落ちた。
シャマ・ビビ(Shama Bibi)さんとシャザード・マシー(Shahzad Masih)さん夫妻が殺害されたこの事件は、パキスタンの世論に怒りの火をつけた。イスラム教が国教のパキスタンでは、コーランを冒涜した者は死刑に値し、冒涜の容疑が立証されていない場合でも、自警団などによって殺害されることがしばしば起こる。
事件の前、幼いアリヤさんは家族と一緒に、ほこりまみれのれんが工場に拘束され、働かされていた。14年11月4日の事件後、アリヤさんは工場を去った。他のキリスト教徒の5家族も逃げ出した。
アリヤさんは今、パキスタン東部ラホール(Lahore)の貧困層が多く住む地域で、母方の祖父と兄、姉と一緒に暮らし、新しい靴とリュックサックで毎日、学校へ通っている。だが、きょうだいは工場から遠く離れた新しい生活に馴染めていない。祖父はAFPに「子どもたちは両親に会いたいと泣くことが多い」と言ってため息をつき、事件から1年経っても安らかな気持ちにはなれないと話した。