エルニーニョで大打撃のアジア、年末にかけラニーニャの恐れ
このニュースをシェア
【4月29日 AFP】エルニーニョ現象(El Nino)が原因とされる猛暑と干ばつにより、アジア各地で食料・水が不足し、農業が大打撃を受けている。だが専門家によると、エルニーニョ現象が終わった後には、洪水をもたらす恐れのあるラニーニャ(La Nina)現象が控えているという。
昨年始まった今回のエルニーニョ現象は過去最大規模。東南アジアを流れるメコン川(Mekong River)の水位は数十年ぶりの低水準となり、フィリピンでは食料をめぐる情勢不安が生じている。また、アジアの広い地域が、数か月に及ぶ熱波に見舞われ、気温は度々40度を超えている。
調査会社IHSグローバルインサイト(IHS Global Insight)によると、東南アジアの経済損失は100億ドル(約1兆円)を超す可能性もある。
今回のエルニーニョ現象は今年半ばには終わる見通しだが、その後、同現象と同程度に強力なラニーニャ現象が始まる恐れが高まっている。ラニーニャ現象がもたらす豪雨は、洪水が発生しやすい地域に追い打ちをかけ、農業被害を悪化させ、作物への疫病や害虫被害を増加させる恐れがある。
国連(UN)のスティーブン・オブライアン(Stephen O'Brien)緊急援助調整官(人道問題担当国連事務次長)は今週、「ラニーニャ現象──エルニーニョ現象に続いて発生する場合が多い──が年末にかけて始まれば、状況はさらに悪化する恐れがある」と警鐘を鳴らした。
オブライアン調整官によると、すでにエルニーニョ現象の影響で、アフリカを中心に全世界で6000万人が「緊急援助」を必要としているという。(c)AFP/Satish Cheney