【4月29日 AFP】元プロボクサーで、前人未到の8階級制覇を成し遂げたマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)氏は28日、イスラム原理主義過激派グループによる自身の誘拐計画があったことについて、衝撃を受けたと語った。

 パッキャオ氏の母国フィリピンのベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)大統領は27日、同国のイスラム過激派グループ「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」が、パッキャオ氏か同氏の子供の拉致を企てていたと明かした。アブサヤフは身代金目的の誘拐を行う集団で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」への忠誠を表明しており、今週には人質となっていたカナダ人男性を殺害している。

 首都マニラ(Manila)でパッキャオ氏は、「アブサヤフが私の誘拐を企てていたという発表があって、不安になった。フィリピンの全国民が友人だと思っていたから驚いた。私はみんなを愛している。とりわけイスラム教徒はね」と語った。

 パッキャオ氏はアキノ大統領の発表を受け、自身や地元ジェネラル・サントス(General Santos)にいる妻や5人の子どもたちを守るため、安全対策を講じたと明かしている。パッキャオ氏は現在、5月に行われる上院選での当選を目指し、南部のジェネラル・サントスから1000キロほど離れているマニラで選挙活動を行っている。

 一方でパッキャオ氏は、アキノ大統領が陰謀疑惑について公に声明を出す前に情報が提供されなかったことに、当惑していると明かした。

「諜報機関の報告であったとすれば、内密にしておくべきで公にする必要は無い。そして、なぜ今なのだろう?それについては詳しく調べる必要がある」

 またパッキャオ氏は、フィリピン南部にいるイスラム教徒とは友好関係があり、自身がなぜ標的となったか分からないとしている。

「イスラム教徒の兄弟がそんなことをするとは思えない。私たちは彼らを支援し、生計の手段も与えている。そういったことがどこからやってきたのか見当もつかない」

(c)AFP