【4月26日 AFP】赤ちゃんの遊びに音楽の要素を取り入れると、言語能力習得の一助となる可能性があるとする研究論文が25日、発表された。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、米国の研究チームは、生後9か月の赤ちゃんを対象に行った実験で、おもちゃのトラックなどの一般的な玩具で遊ぶグループと遊びにリズムを取り入れたグループとを比較した。

 研究では、遊びにリズムを取り入れたグループの赤ちゃんには、言語学習の際に重要となるパターンの検知に関わる脳の部位により活発な活動がみられた。

 論文主執筆者の米ワシントン大学(University of Washington)学習・脳科学研究所(I-LABS)の博士課程終了研究者、クリスティーナ・ザオ(Christina Zhao)氏は、「この結果は、早い時期に音楽的な体験を取り入れると、認知能力により広範囲な影響を与える可能性があることを意味する」と語る。

 研究は、赤ちゃん39人とその保護者を対象とした小規模なもので、毎回15分間のセッション(遊び)を1か月にわたり12回ずつ行った。

 赤ちゃん20人のグループには、保護者と一緒に座ってもらい、童謡を聴きながら、音楽に合わせて太鼓を叩かせた。音楽は、古くからある童謡のほか、野球の試合で定番となっている「私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ballgame)」やワルツが使われた。

 残りの赤ちゃん19人にも、玩具やブロックなどで活動的に遊ばせたが、音楽の要素は排除した。

 研究チームは1か月後、それぞれの赤ちゃんに脳磁図(MEG)と呼ばれる脳検査を受けてもらい、グループ間での違いの有無を調べた。

 その結果、遊びに音楽を取り入れたグループの赤ちゃんは、注意力の制御やパターンの検知に関わる聴覚皮質と前頭前皮質の反応がより強かった。

 共同執筆者でI-LABS共同責任者のパトリシア・クール(Patricia Kuhl)氏は、「パターン認識は重要な認知能力であり、この能力を早い時期に向上させると、長期にわたって学習能力に好影響を与える可能性がある」と述べた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN