【4月20日 AFP】フランスのプロゴルファー、ジャン・バンデベルデ(Jean van de Velde)が19日、先日のマスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2016)でまさかの逆転負けを喫したジョーダン・スピース(Jordan Spieth、米国)について、立ち直ることを信じていると話した。

 バンデベルデには、そう言える理由がある。スコットランド(Scotland)のカーヌスティ(Carnoustie)で行われた1999年の全英オープン(The Open Championship)最終日の最終ホール、バンデベルデは、ダブルボギーでも優勝という状況でまさかのトリプルボギーをたたき、プレーオフでポール・ローリー(Paul Lawrie、スコットランド)に敗れ、メジャー制覇を逃した。

 マスターズの12番ホールで、スピースがウオーターハザードに2回ボールを入れ、ダニー・ウィレット(Danny Willett、イングランド)に追い上げられるのを見ながら、バンデベルデを思い出した人もいるのではないだろうか。

 バンデベルデは、「きっと彼は、信じられないくらい、すべてがあっという間の出来事だったと感じているはずだ。それが、私がゴルフを愛してやまない理由だ。想像し得る最高の場所にいたと思ったら、その5分後には手のひらを返されている」と話した。

 1999年、全英オープン最終ホールのティーグラウンドに立ったとき、バンデベルデは2位に3打差をつけており、このホール(パー4)を6打で乗り切れば、最古のメジャーで、1907年以来のフランス人覇者になれるはずだった。それまでの3ラウンドのうち2ラウンドでは、18番ホールでバーディーを奪っていたこともあり、優勝は確実と思われた。

 ところが、ドライバーを選択してのティーショットは、フェアウエーのはるか右へ。迎えた第2打で、バンデベルデはストロークを刻むのではなく、果敢にグリーンを狙ったものの、ボールは観客席で跳ね返り、石壁のへりに当たって、膝丈ほどもある深いラフに飛び込んでしまった。

 続く第3打を、18番フェアウエーを流れるクリーク「バリー・バーン(Barry Burn)」に打ち込むと、バンデベルデは靴と靴下を脱いで水に入り、そのまま打つべきかをしばし考えた。

 最終的には、1打罰でボールをドロップしたものの、第5打もグリーン脇のバンカーにつかまる。続くショットで見事にグリーンへ乗せ、約2メートルのパットを沈めたが、バンデベルデはこのホールに7打を要して、トリプルボギーとなってしまった。

 この結果、米国のジャスティン・レナード(Justin Leonard)、ローリー、そしてバンデベルデの3人で争うプレーオフに突入。最後はプレーオフ4ホール目で、ローリーが優勝を決めた。